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『アノニム』by 原田マハ: 香港の現代アート市場が熱い!

台湾発の大型ブックストア、誠品生活をぶらぶらしていてふと手に取った一冊がこちらの本でした。『アノニム』。

私は原田マハさんのアート系の本が好きです。一番好きなのは「暗幕のゲルニカ」。今回はジャクソン・ポロックの作品に関する本ということで、久しぶりに楽しく読めるかな?とワクワクして読み始めました。

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『アノニム(anonyme)』by 原田マハ

結論としては、そこまで好きな部類の本ではなかったです。全体的にタッチが軽い印象(マンガみたい)。個人的にはもう少し硬派な方が読み応えがあって好き。でも、香港の美術市場のことについてはとても勉強になりました。

ストーリーの舞台は香港です。昔の香港ではなく、中国政府から抑圧をかけられている今の香港が舞台。学生たちはデモを活発に行っており、そんな風潮を横目でみている学生、チョウ君のもとへ、謎の団体「アノニム」から連絡が届きます。チョウ君は、アートを深く愛し、アーティストになることを夢見る大学生です。

一方で、ジャクソン・ポロックの「ナンバーワン」という作品が香港でオークションにかけられることになります。史上最高価格で落札されると予想されるこの作品をめぐり、多くの資産家や投資家がオークション会場に詰め寄り、ポロックを自身のものにしようと、入札に挑みます。

「アノニム」の目的は、ジャクソン・ポロックの「ナンバーワン」を、この資産家や投資家の手に渡らせないようにすること。彼らはアートは投機目的ではなく、本当にアートを愛する者の元へ届けられるべきだと考えています。そこで、類まれな才能をもち、誰よりもアートを深く愛するチョウ君が利用されるわけですが、、、

という話です。

この本を読んで、香港の美術オークションマーケットが非常に熱いということがよくわかりました。中国には富裕層が増えていますよね。最近は、彼らの現代アートに対する理解や知見が深まっており、投機目的で現代アートの作品を購入する人たちが増えているようです。しかも信じられないくらいの高額で落札するようですね。

アート作品の価値は落札額で決まると言っても過言ではなく、今、香港の富裕層たちは、現代アートの価値をどんどんと押し上げていっているようです。現代アートマーケットの中心は欧米から中国へ移っているのかもしれません。

そんな香港のアート市場の実態を描いた原田マハの作品でした。ジャクソン・ポロックのナンバーワン、とても良い作品のようですね。いつか実物を見てみたいです。

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