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走って食べて読書して。東京在住アラサー女子の気ままなdiary

『ノマドランド』by クロエ・ジャオ: 誇りをもって、シンプルに生きるということ

まさかの濃厚接触者になってしまった先週木曜日。自身は翌日PCRテストを受けて陰性ということがわかったものの、2週間は潜伏期間のため外出禁止(涙)ということで、しばらくランはお休みです。

ここ最近は仕事が忙しくて帰宅も遅く、大阪出張も控えており、土日も予定がぎっしりという状況でした。私が外出できなくなりたくさんの方に迷惑をかけてしまいましたが、あまりにも忙しい日々に、神様が与えてくれた休養なのかなと勝手にプラスにとらえています。家でも仕事はできてしまうので平日は忙しいですが、休みの日は家で映画と読書三昧です^^

本日はこちらの映画をレビュー。話題作の『ノマドランド』

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非常に好きな映画。とにかくアメリカの大自然が美しい。太陽や雪、空、星、火など、とにかくすべての景色が美しく、我々は美しい地球の上に住ませていただいているんだよなぁということを再認識させられます。3年前にセドナに行きましたが、そこも本当に美しかった。セドナ大自然を思い出しました。

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2018年に訪れたアメリカのセドナ。美しすぎる大自然が忘れられない。

映画の舞台はアメリカ。車で各地を転々としながら生活するノマド(漂流者という意味)、ファーンが主人公です。もともとは旦那様と共に家を持ち、教員として中流階級の生活をしていましたが、リーマンショックで街の経済の中心となっていた工場が閉鎖。人々は仕事を失い、街はゴーストタウンとなり、さらにファーンは旦那様を病気で亡くしてしまいます。

家も街も仕事も家族も失い、絶望の淵に立たされたファーン。そんな彼女が選んだ生き方がノマドでした。アマゾンの工場などで短期労働をしたり、ファストフード店で掃除の仕事をしたりしながら、車で寝泊まりする生活。ただ、彼女は完全に孤独ではありません。

各地にはファーンと同じように車で寝泊まりして生活するノマドが多くおり、コミュニティがあります。共に食事をしたり、キャンプファイヤーをしたり、物々交換をしたり。ファーンは彼らからノマドとして生き抜くための知恵もたくさん教えてもらいます。

世間から見ると、彼らは経済困窮者です。仕事も肉体労働しかなく、その日をしのぐので精一杯。貯金もありません。ただ、この映画で特徴的なのは、彼らはノマドという生活に誇りを持って生きているということ。

例えば、ファーンは友人や兄弟に「家に一緒に住もう」という提案を受けるのですが、結局はノマドの生活に戻ってしまうのですね。お金が無くなって妹の家にお世話になるシーンがありますが、投資用不動産の話で盛り上がる親戚をかなり冷めた目で見るファーン。そしてその反動かのように、翌日に崖に行き、強風の中、両手を広げて大自然を感じるファーンのシーンは印象的でした。毎日シンプルに車一台で生活するファーンにとって、投資用不動産などまったく興味はないのですよね。彼らは余計なものは持たずに、地球を感じながら、1日1日を精一杯いきている自分たちの生き方に誇りをもっているのです。

ノマドのほとんどは高齢で、健康面からも体力面からも、この生活を続けていくことは大変だと思いますが、シンプルで潔いノマドの生活を垣間見て、人間本来こうあるべきなのではないかと思うような映画でした。誇りをもって潔くシンプルに生きる。そんなことを改めて教えてくれたとても素敵な映画でした。

ちなみに、映画で出演するノマドは、主人公ともう1名の2名以外はすべて本物のノマドというのも驚きです。全く違和感のない見事な演技力。ノマドにリスペクトを持って、彼らの深い美しい世界を描いたクロエ・ジャオ監督に拍手です。

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