『コンテイジョン』by スティーブン・ソダーバーグ: 映画の中の世界が10年後に現実になっている件
「今のコロナ禍とそっくりな世界がすでに映画で描かれていた!すごいから見て!」会社の同僚にずっと薦められていた映画をやっと見ることができました。
今から10年前の2011年に公開された『コンテイジョン』。今日はこちらのレビューをしてみようと思います。
この映画、一言でいうと「すごい」。。。
同僚のいうとおり、パンデミックの世の中が訪れることを予言していたかのよう。10年前に見ていたらピンとこなかったと思いますが、今みると説得力しかない。この映画に描かれていることが、本当に現実になっている。恐ろしいくらいに的中していると思いました。(ただ、描写は今のコロナ禍よりは過激かな)
舞台は香港から始まります。香港出張を経てアメリカに帰国した女性が突然亡くなってしまいます。同じような突然死があっという間に世界中で広がり、世の中はパンデミックが起こったことを知ります。
マスク着用、ソーシャルディスタンス、手洗い、人との接触を避けること、、、学校も閉鎖になります。まさに今注意喚起されていることと同じことが映画の中でも叫ばれています。
ウイルスは国境を越えて、簡単に広がっていきます。感染したお客さんのコップを店員が触り、そのまま手すりを触り、それを触った人が、バスや電車に乗り、その手で様々な場所を触っていく。人々はウイルスのついた手で顔や口を触って感染していきます。誰も何も悪くないくないですよね。ただ日常生活をしているだけ。
そしてウイルスよりも怖いのは、人です。「●●がウイルスに効く」というデマ情報を信じて人々がスーパーに殺到したり、強盗や強奪で町があっという間に廃荒していきます。まるで戦争時代のよう。ワクチンを手に入れるためなら、殺人だって起こしかねないほど、人々はパニックに陥ってしまうのです。
最後はハッピーエンドなのでほっと一息。という感じでしたが、本当に恐ろしい映画でした。パンデミックが中国から発生したことや、感染源がコウモリということも似ているし、WHOやワクチン開発の描写などもリアルで驚きました。
ただ、この映画で一番伝えたいのは、やはり「一番恐ろしいのは人間である」ということですよね。恐怖が広まってしまい、人々のパニックが伝染してしまうと、人は他人を信じられなくなり、正常な判断ができなくなってしまう。人は豹変していきます。それはウイルスが広がるよりも恐ろしいことかもしれません。
パンデミック下ではなかなか難しいと思うのですが、理性を保ち、デマ情報にまどわされず、きちんと正確な情報を得て、賢く、そして温かく、まわりの人々と協力して生きていくことがどれほど大切かということを考えさせられる映画でした。